©The Estate of Jeanloup Sieff/G.I.P.Tokyo

「ハーパース・バザー」のモード
パームビーチ 1964年


優美なうしろ姿にその静謐な顔立ちは品格を漂わせ、ギリシャ神話の美神に通じる。シーフ名作の一枚である。「美しきアストリッド」と作家は名づけた。スウエーデン王女(後にベルギー国王レオポルド3世の王妃となった)アストリッドの名前からだろうか、王妃の麗しい顔立ちにインスピレーションしたに違いない。シーフが最もパワーに溢れた60年代、その原動力はまさに青春の若さにあったが、ニューヨークとパリを往復し有名ファション誌で大車輪の活躍だった。ニューヨークでは『ハーパース・バザー』の仕事が中心でこれもその代表作である。テーマは“シック”。モデル本人は知り得ない背後の美しさを背中に語らせる。控えめで横向きの、みやびな表情が無上の至福を見るものに与えるのは、写真家が被写体に向かってどのように表現するか、写真家自らの望みを知り尽くしている結果に思える。

写真解説 倉持和江(ジー・アイ・ピー)


SANKEI EXPRESS 3月28日〜4月3日連載の抜粋転載



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